2025年4月省エネ義務化:戸建賃貸の追加コストと回収年数を実例で解説
以前コラムでも省エネ住宅であるZEH住宅について、「賃貸住宅もZEH住宅であるべきなのか」という記事を書かせていただきました。
⇒ 過去の記事「賃貸住宅もZEH住宅であるべきなのか」はこちら
2025年4月以降、新築住宅は原則すべて省エネ基準に適合していなければ建てられません。
戸建賃貸エクリュは投資商品ですから、「土地活用の選択肢としてどうか」を決める鍵は、初期投資と利回りのバランスをどう設計するかにあります。
本稿では、まず義務化で何がどう変わったのかをわかりやすく整理し、そのうえでコストの内訳、収益の影響、融資や出口評価への作用を順に解説します。
さらに、都心近接と郊外の2つのケースを使って具体的に比較し、最終的な判断の着眼点を提示します。

義務化で何が変わる?
義務化でいちばん変わるのは、検討の順番が前倒しになることです。
これまでは「省エネの説明」をして進められましたが、これからは確認申請の時点で適合していることが必須になります。
つまり、基本設計の段階から、外皮性能(断熱・気密など)を計算し、窓計画・断熱・設備をセットで最適化しておく必要があります。
⇒ 参考:国土交通省からのお知らせ
最後に高効率機器を一つ足して帳尻を合わせるというやり方は通用しにくいのです。
最適化したパッケージ商品を基に、最終的な建築コストと想定家賃を理解し、運用の道筋を描くことが大切です。
追加コストはどこに乗る?
次に、コストの中身をかみ砕いて説明します。
地域区分や延床面積、相場によって差は出ますが、従来仕様から省エネ適合仕様へ引き上げるときに費用が増えやすいのは主に4つです。
- 天井・外壁・床の断熱を強化する部分
- Low-Eガラスや樹脂(または樹脂複合)枠などで窓の性能を底上げする部分
- 熱交換型の換気を導入したり、気密の取り方をきちんと設計する部分
- 高効率な給湯機や空調機を採用する部分
金額感で言うと、断熱はおよそ20〜50万円、窓まわりは20〜60万円、換気や気密の強化で10〜30万円、給湯・空調で10〜40万円の上振れが見込まれます。
これらを合計すると、1棟あたり約150万円の価格上昇が目安です。
つまり、「外皮(断熱・窓)+設備(換気・給湯・空調)」の底上げがコスト増の主因で、その総和として150万円前後を見込んでおくと判断しやすくなります。
実例(モデル試算:戸建賃貸A-type 72.44㎡)
投資への効き方は、立地によって変わります。
延床面積約70㎡の「戸建賃貸エクリュA-type」を想定して、都心近接と郊外の二つを見比べてみましょう。

ケースA|駅近〜準都心(想定家賃 13.0万円/月)
まず駅近〜準都心のケースです。
想定家賃を13.0万円/月、省エネ適合の追加コストを150万円とすると、家賃には+3,000円/月ほど上乗せできる可能性があります。
家賃プレミアムだけの増収は年間3.6万円にとどまりますが、実務では適合がリーシング速度に効きやすく、空室が1ヶ月短縮できれば+13万円/年の改善に相当します。
両者を合計すると年間16.6万円の収益改善になり、150万円 ÷ 16.6万円 ≒ 9.0年で回収できる計算です
ここでの省エネ適合は、利回りを劇的に押し上げるというより、空室期間を短くし目減りを抑えることで収益を安定化させる選択として効いてきます。
ケースB|郊外(想定家賃 9.0万円/月)
次に郊外のケースです。
想定家賃を9.0万円/月、追加コストは同じく150万円とします。
家賃プレミアムは保守的に0円と置き、空室0.5ヶ月短縮=+4.5万円/年だけを効果として見込むと、年間の収益改善は4.5万円にとどまります。
したがって150万円 ÷ 4.5万円 ≒ 33.3年と回収に長い時間がかかります。
なお、省エネ適合はパッケージ化して提供する前提のため、「適合に必要な最小限の仕様」を個別に切り詰めて本体コストや維持費を大きく圧縮するアプローチは取りづらいのが実情です。
以上を踏まえると、郊外における結論は、仕様を“締める”こと自体を目的化するのではなく、対象エリアの家賃の天井と需要の強さ(賃料帯の分布、成約スピード、入居者属性、競合供給状況など)を丁寧に調査し、投資として成立するかを見極めるべき、というものになります。
要するに、同じ「省エネ適合」であっても、駅近〜準都心では“攻める仕様”が収益の安定化につながりやすい一方、郊外では市場の天井と需要強度を前提に投資是非を判断する姿勢が合理的です。
融資・出口にどう効く?
融資や売却(出口)にも影響があります。
金融機関は、光熱費や修繕費などのランニングコストを見通しやすく、長期の修繕計画が無理なく回るプロジェクトを好みます。
省エネ性能や耐久性がきちんと説明できる計画は、その点で評価されやすく、必ずしも金利や期間が優遇されるとは限らないものの、審査で“話が通りやすくなる”のは確かです。
とくに都心近接のように家賃を上げやすい立地では、借入返済余力を示すDCR(家賃収入などのキャッシュフロー ÷ 年間返済額)が改善し、結果として借入可能額に余地が生まれることがあります。
出口の場面でも、空室期間が短く、今後の規制変更に強い計画は買い手からの評価が高くなります。
省エネ適合済みであることは、将来の不確実性を理由に価格を下げられる“割引”を避けやすく、資産価値の目減りを防ぐうえで有利に働きます。
まずはお問い合わせください(無料)
「戸建賃貸エクリュ」は、投資としてきちんと成立することを第一に考えた設計パッケージです。
お客さまの土地に、省エネ基準に適合したエクリュを建てる前提で、想定家賃をもとに投資として妥当かを検証します。
まずは敷地情報だけお送りください。お気軽にどうぞ。
ライター:森田 貴大 AM事業部
「素直な心と真摯な対応」
不動産の投資コンサルをメインに、土地活用のご提案として『戸建賃貸エクリュ』の建築に携わっております。
CPM(不動産経営管理士)の理論を基に投資分析を行い、資産運用のお手伝いをいたします。
また、『戸建賃貸エクリュ』だけでなく、お客様の大切な資産である土地を、どう活用していくことが最善なのかを提案いたします。
資産運用や土地活用だけでなく、不動産に関するお困りごとがあれば、是非是非お気軽にご相談ください。
「所持資格」
CPM®(公認不動産経営管理士)/宅地建物取引士
