九大箱崎キャンパス跡地が動き出す!2028年から変わる箱崎の街と賃貸市場

福岡市東区の箱崎エリアで、これから大きな街の変化が始まろうとしています。
その中心となるのが、九州大学箱崎キャンパス跡地です。
九州大学の伊都キャンパスへの移転後、広大な土地が残された箱崎キャンパス跡地については、長年にわたり今後の活用方法が検討されてきました。
そして2026年3月、住友商事を代表企業とする8社の企業グループが土地利用事業者として正式に決定。
現在、2028年度の第1期まちびらきに向けて、具体的なまちづくりが進み始めています。
⇒【日本最大級のスマートシティ 2028 年度に福岡に誕生】九州大学箱崎キャンパス跡地地区におけるまちづくり土地利用事業者に正式決定 はこちら
今回の再開発は、単にマンションや商業施設を建設するという規模のものではありません。
住宅、商業、医療、教育、研究、オフィス、公園など、さまざまな都市機能を一体的に整備する大規模プロジェクトです。
計画では2028年度の第1期まちびらきから2036年度の概成まで、段階的に街を形成していくことが予定されています。
では、この大規模な再開発によって箱崎はどのように変わっていくのでしょうか。
そして、土地や賃貸不動産を所有するオーナーにとって、この街の変化をどのように捉えるべきなのでしょうか。
今回は前編・後編の2回に分けて、箱崎の再開発とこれからの土地活用について考えていきます。
目次
「HAKOZAKI Green Innovation Campus」として生まれ変わる九大跡地
九州大学箱崎キャンパス跡地の新しい街のコンセプトとして掲げられているのが、「HAKOZAKI Green Innovation Campus」です。
九州大学が100年以上にわたり積み重ねてきた歴史を受け継ぎながら、緑豊かな都市空間、最先端技術、教育、医療、研究、商業、住宅などを組み合わせ、新しい産業やライフスタイルが生まれる街を目指しています。
街の中には、研究・交流拠点となる「BOX FUKUOKA」やライフサイエンス関連の研究施設、商業施設、スーパーマーケット、総合病院、産婦人科クリニック、インターナショナルスクール、外国語専門学校など、多様な都市機能が導入される計画です。
さらに、分譲住宅や賃貸住宅も整備されます。
つまり、今回の開発は「住宅地をつくる」だけではありません。
住む・働く・学ぶ・買う・医療を受ける・交流する。
こうした生活に必要なさまざまな機能を一つのエリアに集め、新しい街そのものをつくるプロジェクトといえます。
また、まち全体で緑化率40%、総樹木本数1万本以上を確保する計画も示されており、歩行者ネットワークや広場などを含め、緑の中を歩いて生活できる都市空間が意識されています。
これまでの箱崎が持っていた歴史や街並みと、新しい都市機能がどのように融合していくのかも、今後の注目点です。
2028年を境に、箱崎の「人の流れ」が変わる可能性
不動産の視点から再開発を見る場合、建物そのもの以上に注目したいのが、「そこで生活する人、働く人、訪れる人がどのように変化するのか」という点です。
新しい商業施設ができれば、買い物を目的に訪れる人が増えます。
オフィスや研究施設ができれば、そこで働く人が生まれます。
病院が移転すれば、医療従事者や患者、その家族などの往来が増えます。
学校ができれば、学生や教職員など新しい人の流れも生まれます。
さらに住宅が供給されれば、当然ながら新しく箱崎で生活を始める世帯も増えていきます。
計画されている都市機能から考えれば、今後の箱崎では居住者だけでなく、就業者、学生、来訪者などを含めて人の流れが大きく変わる可能性があります。
これは、周辺の店舗や住宅市場にも少なからず影響していくと考えられます。
交通面でも変化があります。
計画では貝塚駅や箱崎九大前駅などと再開発区域を結ぶ歩行者ネットワークや、路線バス、オンデマンド型の交通、シェア型モビリティなどを組み合わせ、周辺地域とのつながりを強化する方針が示されています。
こうした街の変化は、再開発区域の中だけにとどまるとは限りません。
例えば箱崎、筥松、松島、貝塚周辺など、既存住宅地から新しい商業施設や医療施設などを利用することも考えられます。
そのため、不動産オーナーにとっては「九大跡地に何が建つのか」という視点だけでなく、周辺住宅地を含めて生活圏そのものがどう変わっていくのかを見る必要があります。

ただし、「再開発=賃貸需要が増える」とだけ考えるのは危険
ここまで読むと、「箱崎はこれから人口が増えそうだ」「だったら賃貸住宅を建てれば需要があるのではないか」と考える方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、土地活用を考えるうえでは、ここでもう一つ重要な数字を見る必要があります。
今回の再開発では、住宅需要が生まれるだけでなく、新しい住宅そのものも大量に供給される予定だからです。
事業基本計画では、ファミリー向け共同住宅について、2028年度以降、南側エリアから年度ごとに約250戸ずつ、最終的に計2,000戸を供給する計画が示されています。
なお、計画内容は今後変更される可能性があります。
これは土地活用を考えるうえで非常に重要なポイントです。
再開発によって新しい人が街に入ってくる可能性がある一方で、その人たちが住むための新しい住宅も同時に増えていきます。
つまり、「需要の増加」と「供給の増加」が同時に起こる可能性があるということです。
「再開発される場所だから、周辺でアパートを建てれば入居する」と単純に考えるのではなく、新しく供給される住宅と競争することまで考えなければなりません。

新築住宅2,000戸が意味するもの
新しい住宅が供給されること自体は、街にとって決して悪いことではありません。
新しい世帯が流入すれば、商業施設や飲食店、教育、医療などの需要も生まれ、街全体の活気につながる可能性があります。
一方で、既存の賃貸住宅やこれから土地活用によって建設する賃貸住宅にとっては、新築物件が新たな競合となることも忘れてはいけません。
特に入居者は、同じような家賃帯・間取りであれば、「築年数が新しい」「設備が充実している」「駅に近い」「商業施設に近い」といった条件を比較して住まいを選びます。
そのため、これから箱崎周辺で土地活用を考える場合、「新しい街になるから大丈夫」という理由だけで事業計画を立てるのは十分ではありません。
重要なのは、その土地の周辺で、どのような住宅が増えるのか。
そして、それでも選ばれる住宅をつくることができるのか。
という視点です。
「人口」だけではなく、「世帯」と「暮らし方」を見る
賃貸経営では人口の増減がよく注目されます。
しかし、実際の住宅需要を考えるうえでは、人口だけではなく「どのような世帯が暮らすのか」を見ることが大切です。

例えば、一人暮らしの学生や会社員であれば、駅への近さやコンパクトな間取りを重視することがあります。
一方で、子育て世帯になると、「2LDK、3LDK程度の広さが欲しい」「子どもの生活音をあまり気にせず暮らしたい」「車を2台所有している」「収納が多い住宅がいい「学校やスーパーに通いやすい場所がいい」など、住宅を選ぶ条件が変わってきます。
同じ「賃貸需要」という言葉でも、単身者向けとファミリー向けでは求められる住宅は大きく異なります。
特に箱崎の再開発では、ファミリー向け共同住宅の大量供給が予定されています。
だからこそ、周辺で土地活用を検討する場合には、「ファミリー需要があるか」だけではなく、「そのファミリーがどんな住宅を求めるのか」まで考える必要があります。
これからの土地活用は「何戸建つか」だけでは決められない
土地活用の相談では、「この土地ならアパートが何戸建ちますか?」「できるだけ多く部屋を取った方が収益は高くなりますか?」という話になることがあります。
もちろん、戸数や建築費、家賃、利回りは非常に重要です。
しかし長期的な賃貸経営を考えれば、それと同じくらい、完成した住宅が入居者から選ばれ続けるのかという視点が重要です。
仮に10戸のアパートを建築できたとしても、周辺で同じような間取り・設備の新築住宅が次々と供給されれば、将来的には家賃競争や空室競争が起きる可能性があります。
逆に戸数が少なくても、周辺に少ない住み方を提供することで、一定の入居者層から選ばれる可能性もあります。
土地活用は、「建てられる建物を建てる」のではなく、「その場所で必要とされる住宅を考える」ことが大切なのです。
ecruでは、土地の広さや形状だけで判断するのではなく、周辺家賃、競合住宅、入居者層、駐車場需要などを確認しながら、戸建賃貸だけでなくアパートや売却なども含めて土地活用を検討しています。
箱崎の再開発は「土地活用を見直すきっかけ」
九州大学箱崎キャンパス跡地の街づくりは、2028年度の第1期まちびらきを皮切りに、2036年度まで段階的に進められる予定です。
つまり箱崎は、ある日突然街が完成するのではなく、これから約10年にわたって少しずつ変化していくエリアです。
この期間に、「人の流れ」「住宅需要」「商業環境」「交通環境」「周辺の賃料」「新築住宅の供給量」なども変化していくことが考えられます。
土地を所有している方にとって重要なのは、完成した街を見てから考えるのではなく、街が変わり始める段階から、自分の土地が将来どのような役割を持つのかを考えておくことではないでしょうか。
ただし、再開発が進むからといって、すべての土地でアパートやマンションを建てることが正解になるわけではありません。
むしろ住宅供給が増える地域だからこそ、「何を建てるか」よりも、「誰に住んでもらうのか」「周辺の住宅とどう違う価値を提供するのか」という視点が、これまで以上に重要になります。
では、新しい共同住宅が大量に供給される箱崎周辺で、あえて共同住宅とは違う「戸建賃貸」を土地活用の選択肢として考える意味はあるのでしょうか。
後編では、ファミリー世帯の住まい方の変化と、マンション・アパートとは異なる戸建賃貸の特徴から、これからの箱崎エリアで求められる土地活用について考えていきます。

ライター:森田 貴大 AM事業部

不動産売買全般と土地活用のご提案として『戸建賃貸エクリュ』の建築に携わっております。
CPM(不動産経営管理士)の理論を基に投資分析を行い、資産運用のお手伝いをいたします。
また、『戸建賃貸エクリュ』だけでなく、お客様の大切な資産である土地を、どう活用していくことが最善なのかを提案いたします。
不動産の購入や売却、資産運用など不動産に関するお困りごとがあれば、是非是非お気軽にご相談ください。
「所持資格」
CPM®(公認不動産経営管理士)/宅地建物取引士/相続アドバイザー
